



2022.08.15 開業支援
ゼロ円開業をおススメしない理由
飲食店を開業するためには、不動産の敷金契約金や内装工事、厨房機器などある程度の初期投資が必要となります。 その初期投資は、あらかじめ準備した自己資金と銀行からの借入金で賄うことになるのですが、自己資金がほぼない方もいらっしゃいます。 今回は自己資金がないケース、いわゆるゼロ円開業についてのお話です。私の個人的な意見ですが、飲食店の自己資金がほぼない開業、ゼロ円開業はおススメしておりません。 理由はいろいろありますが、結果として失敗しているケースが多いからです。 もちろんすべての方に当てはまるわけではありません。 自己資金がなくても銀行からお金を借りることができ、経営も軌道に乗った、という方もいらっしゃいます。 ゼロ円開業が不利になる理由として、 ①借入金の調達がしにくくなる(銀行の評価が低くなる) ②月々の借入金の返済が多くなるため、資金繰りが厳しくなりやすい ③お金を貯めるのが不得意な方は、収入と支出の管理が上手ではない場合が多い などが考えられます。 ①~③はどれも経営においてとても重要なものですが、今回は特に③について説明します。上記①と②は自己資金そのものの重要性ですが、③は自己資金を貯める過程の重要性です。 独立開業前に自己資金を貯めることは、 サラリーマンとしてもらう給料(収入) と 家賃や食費、通信費などの生活費(支出) を管理して、少しずつ積み立てていくことになります。 実はこれは、経営における収支管理とほぼ一緒です。 経営も、 毎日のお店の売上(収入) と 食材仕入や家賃、光熱費などの経費(支出) を管理して、利益を最大化させていくことになります。 「収入を最大限に増やし、支出を可能な限り抑える」 という目標は、自己資金を貯めることも、飲食店を経営することも何も変わりません。 自己資金を上手に貯めることができた方は、その過程を通じて「やりくり上手」になっていることが多いです。経営においては、サラリーマンとの違いとして、収入(売上)を増やすことが最も重要です。 ですが、売上を最大化できても、支出の管理ができなければ利益は最大化されません。 また、飲食店の売上は軌道に乗るまで少なくとも1~2年はかかることが多いため、借入金の返済額が大きいことから、売上が軌道に乗る前に閉店せざるを得ないこともよくあります。 やりくり上手になるために、また、少しでも長くお店の経営を続けていけるような環境を作るために、自己資金を少しでも貯めておくことが、開業前の準備として重要であると言えます。