2021.08.16 資金調達
飲食店の創業融資を成功させるポイント 自己資金編
創業融資の成功率を高めるポイントとして、自己資金の準備があります。 自己資金は創業融資を成功させるためだけではなく、事業の成功にも大きく影響します。 今回は、なぜ自己資金が必要か、どのように貯めておけば良いかについて説明します。日本政策金融公庫の創業融資では、創業総資金の1/10の金額の自己資金があれば要件を満たすことになります。 (創業総資金が1,000万円とすると、100万円の自己資金があれば要件を満たします) ですが、実際は1/10程度の自己資金だと融資が通る可能性は高くありません。 日本政策金融公庫の新規開業実態調査によると、創業時の自己資金割合は3割程度と言われています。 また、自己資金はいくら準備できたかということも重要ですが、どのように準備したかということも重要です。自己資金を準備するケースの多くは、サラリーマンとして働き、給料をもらい、その中から貯金をすることになります。 「手元に入る収入と出ていく支出を管理し、毎月少しずつお金を貯めていく」 というお金の貯め方は、売上と経費を管理することと同じで、まさに経営そのものです。 収入と支出をしっかり管理して、毎月コツコツとお金を貯めることができれば、審査をする銀行にとって非常に好印象です。 (融資を申し込む際は自己資金の証明として、約6か月前からの預金通帳を提示する必要があります) 逆に、入ってきた給料を短い期間ですべて引き出してしまう場合など、お金の使い方が派手だな、ということが通帳から読み取れると、 「この人にお金を貸しても、仕事に使わずに飲食代や個人的な趣味に使われてしまいそうだな・・・」 という印象を持たれてしまう可能性があります。 余談ですが、私もお客様の預金通帳を拝見していると 「お金の使い方はその人の人柄を表すというか、人それぞれの個性が出るな」 という思いを持ちます。 銀行の方は融資のプロなので、そういったお金の使い方は厳しくチェックしてきます。「通帳にお金があることを証明すればよいのであれば、一時的に誰かから借りて、自分のものとして銀行に見せればいいじゃないか」 と考える方がいるかもしれませんが、これはアウトです。 いわゆる「見せ金」というもので、どうやって調達したものなのか、話の辻褄が合わなければ自己資金として扱ってくれないだけではなく、融資自体を断られることもあります。日本政策金融公庫の「2016年度起業と起業意識に関する調査」の中に、 「自己資金割合の多寡よりも、希望どおりの起業費用を調達できたかどうかのほうが、起業後の業績を左右する。」 という調査結果があります。 自分がやりたい事業を行うために必要な資金は、希望する分だけ調達できた方が事業の成功率が高くなる、という調査結果です。 そして、希望する分だけ、自分が望む資金を調達するためには、書いてきた通りにコツコツ貯めた自己資金がある方が圧倒的に有利です。 将来的に開業をお考えの方は、自己資金の準備を早めにしておくよう心がけましょう。