2021.05.24 決算・節税対策
税金と社会保険についての「扶養(ふよう)」を把握しておくことの重要性
確定申告や年末調整だけではなく、開業時にも必ず確認する点が「扶養」についてです。
この「扶養」の範囲は税法・社会保険問わず、配偶者、子ども、両親など家計を一緒にしている人全般についての話であることが多いです。
今回は、扶養の基本的な知識についてのお話です。
扶養の考え方について
まずは扶養の基本的な考え方についてです。
扶養の取扱いは大きく二つあります。
一つは所得税法上の扶養、もう一つは社会保険上の扶養です。
これらの範囲は似て非なるものであり、金額の判定や判定時期、取扱いも異なるので、それぞれを正確に把握しておく必要があります。
具体的に所得税法上と社会保険上の取扱いをそれぞれ見ていきます。
所得税法上の扶養とは?
まずは所得税法上の扶養です。
所得税法上の扶養というと「配偶者+扶養控除の対象となる親族」という認識が一般的によく使われます。
厳密に言うと配偶者控除と扶養控除は以下の通り取扱いが異なります。
①配偶者控除(配偶者特別控除含む)
・1~12月の給与収入が150万円以下 → 38万円の控除
・1~12月の給与収入が150万円超~188万円以下 → 36~3万円までの段階的な控除
※令和2年分以降。配偶者が給与収入以外の所得がないこと、控除を受ける側の所得が一定金額以下などの制限がある
②扶養控除(配偶者以外の生計が一緒の親族)
・1~12月の給与収入が103万円以下 → 38万円の控除
※扶養親族が給与収入以外の所得がないこと、親族の年齢により控除額が異なる場合がある
これらの収入金額の判定は年間を通した1~12月の合計額で判定します。
つまり、1~6月までに月15万円収入があり、7月以降は働いていないという人でも年間のトータル収入は90万円と103万円以下であるため、その年の控除を受けることができます。
社会保険上の扶養とは?
次に社会保険上の扶養です。
社会保険上の扶養の範囲は、配偶者、子供、親兄弟など基本的には所得税法上の扶養範囲と一緒です。
(親族の範囲によって同居の要件がある)
被保険者(社会保険に加入する本人)により生計を維持されていること+所得税法上と同じように収入の要件があります。
具体的には、
年間収入130万円未満であり、
かつ、
収入が被保険者の収入の半分未満
というものです。
こちらの金額判定は、所得税法のように年間トータルで判定するのではなく、扶養認定される日以降の月額の見込額により判定します。
つまり、130万円÷12か月=108,333円以下であることが必要です。
先ほどの所得税法上の例で挙げた、
・1~6月までに月15万円収入があり、7月以降は働いていないという人
の場合、1~6月までは扶養になることができず、7月以降に扶養となることができる、という取扱いになります。
実は金額の影響が大きいのは所得税法上の扶養よりも、こちらの社会保険上の扶養です。
こちらで扶養を外れることになってしまうと、自分で健康保険や年金を払わなければならず、金額の負担がとても大きくなります。
これらの適用範囲を適切に把握して、家計と働き方をより効率的に考える必要があります。