2021.09.06 資金調達
飲食店の創業融資を成功させるポイント 売上計画の作成方法 その③
飲食店の創業融資を成功させるポイント 売上計画の作成方法 その① 飲食店の創業融資を成功させるポイント 売上計画の作成方法 その②前回の続きです。
今回は「②利益から作成する方法」での売上計画の作成をご説明します。
必要利益=借入金の返済元金+自分の生活費
②利益から作成する方法は「利益+経費=売上」という考え方によって売上計画を作成していきます。
なので、まず最初に必要利益を見積るところからスタートします。
個人事業主の方を前提に話をしますが、まずはこの必要利益を
「借入金の返済元金+自分の生活費」
とお考えください。
(借入金の利息は経費に含まれるので、返済金のうち元金のみを考慮します)
なぜ必要利益が「借入金の返済元金+自分の生活費」になるかと申しますと、個人事業主の場合、上記二つは経費とならず、利益から捻出することになるためです。
・個人事業主の事業主の給料は経費にならない
・借入金の元金は経費にならない
この二つは交通ルールのように、あらかじめ決めれらたルールと思っていただければ結構です。
借入金の元金返済が月7万円、自分の生活費が月に20万円必要な場合は、7万円+20万円=27万円が目標とする必要利益になります。
まずは自分の生活費と借入金の返済を捻出しても資金が減らないような利益の金額を目指すことが必要です。
食材仕入以外の経費の大半は固定費
次に食材仕入以外の経費を見積っていきます。
売上が決まっていなければ経費を見積ることが難しいのでは?と思うかもしれませんが、食材仕入以外の経費の大半は固定費です。
つまり、売上がいくらでも変わらない経費なので、売上の金額が決まっていなくても見積ることができます。
(クレジット手数料などは売上によって変化する変動費です。この経費は一旦仮の金額を入れておきましょう)
店舗家賃、水道光熱費、消耗品費、火災保険、通信費、人件費などを見積っておおよその経費を計算します。
これらの経費を見積った結果、経費全体が50万円だったと仮定します。
これで必要利益である27万円、経費予測である50万円という数字が出来上がりました。
「売上-食材仕入」で利益と経費を確保する
最後に必要な売上を見積ります。
利益と経費の金額が計算できているので、これらの金額を「売上-食材仕入(いわゆる粗利)」で補うことができれば、マイナスではなくなります。
具体的に計算してみましょう。
先ほど見積った「必要利益+経費」が「27万円+50万円=77万円」です。
「売上-食材仕入=77万円」であれば、必要な利益が確保できることになります。
食材の原価率を30%と仮定した場合、
「売上-売上×30%=粗利」となるため、
「売上×0.7=粗利」という計算式に変換します。
上記の利益と経費の金額を当てはめると、
「売上×0.7=77万円」
という計算式になり、
「売上=77万円÷0.7=110万円」
という金額が計算できます。
この110万円という金額が、借入金の返済をしながら、自分の生活費も確保できる最低限の売上高ということになります。
この最低限の売上高を把握しておけば、
「今月は売上がちょっと足りてないな・・・」
という場合でも、
・あといくら売上をあげることができれば大丈夫か
・経費をいくら抑えれば大丈夫か
ということを、金額の根拠をもとに把握することができ、開業してからの業績管理にも役に立てることができるのです。
両方のやり方で計算してみて、あとは微調整する
売上計画の作成方法として、
①売上から作成する方法
②利益から作成する方法
の2種類の方法をご紹介しました。
手間はかかりますが、2種類のやり方で作成して、それぞれの計画を微調整していく方法がおススメです。
売上計画は開業してからの業績管理にも役立つものなので、最初の段階でじっくりと時間をかけて作成することをおススメします。
「それでもやっぱり数字は苦手だ~」という方や「計画を作成してみたけどこれで大丈夫かな・・・」という方は、弊所までご相談ください。
開業をご予定される方のお話をお聞きしながら、一緒に計画書を作成していくサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。