2021.08.30 資金調達
飲食店の創業融資を成功させるポイント 売上計画の作成方法 その②
飲食店の創業融資を成功させるポイント 売上計画の作成方法 その①前回の続きです。
今回は前回紹介した「①売上から作成する方法」によって売上計画を作る過程を解説します。
計画は厳しめに作成することが前提
「①売上から作成する方法」による売上計画の流れです。
この方法は、売上を一番最初に見積って、その売上をもとに各種経費を決めていき、利益がどのくらい残るかを算出する方法です。
売上は
・客席数
・営業日数
・客単価
・回転率
を掛け合わせて見積ります。
(店内飲食がない小売業態のお店は客単価×回転率×営業日数のみ)
客席数と営業日数は、すでに決まっているお店の規模と場所、または、自分がイメージするお店の規模と場所をもとに見積ります。
この2つは簡単に算出できると思います。
難しいのは残り2つ、客単価と回転率です。
創業される方の計画書を拝見しても、この2つの見積りが甘い(特に回転率を高めに設定してしまっている)方が多いです。
この2つの見積りが甘いと、開店してからの実際の売上が計画と大きく乖離してしまい、資金が回らなくなるという事態に陥ってしまいます。
客単価と回転率は低めに、保守的に見積っておいた方が間違いないでしょう。
つまり、「この売上だと厳しそうだな・・・」と感じる状況でもお店がやっていけるか、ということを前もって検証しておくことが重要です。
(実際に、開店してから1~2年程度は厳しい状況になる飲食店の方が多いです)
客単価はメニュー表から、回転率は客席がどのくらい埋まっているかをイメージ
客単価はメニュー表を作成し、そのメニュー表から見積るのが合理的です。
メニュー1~2品+飲み物1品くらい、コースメニューであれば一番低い価格のコースを客単価として想定した方が間違いないです。
回転率は平日と土日祝に分けるやり方が一般的です(もしくは平日と金土曜日)。
こちらは客席がどのくらい埋まっているかをイメージすると見積りやすいです。
営業時間を通して客席の半分が埋まるくらいであれば0.5回転、客席がすべて埋まるくらいであれば1回転、のようなイメージです。
「じゃあ週末であれば1回転くらい簡単じゃないか」
と思う方がいるかもしれませんが、新規にオープンするお店の認知度は低いので、オープン景気(関係者や初見の顧客が最初に食べに来る売上)を除くと1回転するのはなかなか難しいのが現実です。
自分がいままで働いてきたお店でイメージするのではなく、新規オープンは常連さんがついてくれるまでは辛抱だ、ということを理解して、低めの回転率で売上計画を作成しましょう。
売上が決まれば、あとは仕入と経費を紐づける
売上が決まれば、売上の状況をもとにして、各種経費を見積っていきます。
上の表を完成させるイメージで見積りましょう。
・食材とお酒の原価率はこのメニュー構成だと33%くらいかな
・家賃はすでに条件が提示されている、またはインターネットで同様の物件の家賃の金額を調べられるかな
・人件費であれば平日はアルバイト1人で大丈夫そうだけど、週末はもう1人必要そうだな
・おしぼりやトイレットペーパー、キッチン用品で消耗品として月3万円くらいかかるかな(具体的な使用物をイメージするとベター)
・水道光熱費はガスをよく使う月5万円、電気代月4万円、水道代月1万円くらいかな(物件によっては水道光熱費込のものもあるので要確認)
・広告宣伝もやっておきたいから月1万円くらい見込んでおこうかな
のようなイメージです。
インターネットで検索すると飲食店の各種経費がどのくらいかかるか、ということを調べられるので参考にするとよいと思います。
(経費は売上ほど大きくぶれないので、ある程度の根拠があればOKです)
各種経費を見積って、最終的にいくらの利益が残るかが算出されます。
売上は厳しい状況で作成したので、利益が全然残らない、ということも考えられ、出店を考え直すという状況も想定できます。
その場合でも「やはりこの物件でやりたい!」と考えるのであれば、お店の売上が軌道に乗るまでの自己資金を確保するなど、リスクを回避する方法を考えておくべきでしょう。
このように売上計画を作りこんでいけば、開店した場合にどのような状況になるか、ということを予測でき、そのリスクをどのように回避できるか、ということを想定しておくことができるのです。
うまくいかなかったときのことは考えたくないのですが、事業投資にリスクはつきものです。
廃業率が高い飲食店経営を長く続けていくためには、続けていくための仕組み作りと準備をあらかじめしておくことが大事だと思います。
次回は「②利益から作成する方法」による売上計画を解説します。